よく間違われる臨床検査技師
臨床検査技師は医療ドラマなどでも取り上げられることは少なく、仕事内容を知る人は多くはありません。実際に病院で白衣を着て歩いているとほとんどの患者さんに「看護師さん?」と呼ばれます。
看護師との違い
臨床検査技師は、検査室や採血室などで患者さんの検体を取り扱う業務を行うことが多く、自ら患者さんのいる病棟や外来の診察室に出向くことはあまりありません。患者さんと出会う場面というと、心電図や超音波検査などの生理検査や採血業務になります。一方、看護師は医療機関内のあらゆる部署に配属され、患者さんのケアや診療補助を担当し、患者さんの心と身体の両方に向き合い仕事をします。
「医師の指示の下で」「定められた場所で」行うことは同じですが、臨床検査技師に許可されている医療行為は採血のみで、血液を採取することはできますが、血中に薬剤などを注入する行為は許可されていません。一方、看護師は診療の補助を行うことが保助看法で定められており、医師の指示の下、採血のほか投薬、注射、点滴、医療機器の操作など幅広く業務を担当することができます。
臨床検査技師と看護師は、必要な国家資格も異なりますが、取得するまでの道筋は似ています。専門学校や大学の養成課程を修了すると、国家試験を受ける資格を得ることができます。そして国家試験に合格すると、臨床検査技師や看護師として働くことができるようになります。
放射線技師との違い
放射線技師も他の医療従事者と同様、「医師の指示の下で」業務を行います。臨床検査技師も放射線技師も診断材料を提供するということは共通していますが、放射線技師は放射線を扱うという点が大きく違います。
放射線技師の業務は、レントゲン撮影・CT検査・MRI検査・マンモグラフィ・超音波検査など主に画像診断に関わる業務を担っています。MRI検査や超音波検査は臨床検査技師と共通した業務ですが、放射線を扱った検査ができるのは医師・歯科医師のほかには放射線技師しかいません。また、放射線技師はがんの治療法の一つである放射線治療にも関わることができます。
臨床検査技師の勤務先は病院やクリニック、臨床検査センター、健診センター、企業など様々な場所があります。放射線技師の勤務先は主に病院やクリニック、健診センターですが、企業に勤めている方もいます。
放射線技師も看護師、臨床検査技師と同様に国家資格で、大学・短大・専門学校などの養成課程を修了した後、国家試験を受けて合格することで働くことができます。
医療従事者にはさまざまな職種があります。各職種で同じ作業ができることもあるので、一般の方に間違われやすいこともありますが、それぞれが医療を支える重要な役割を担っています。こうした医療従事者それぞれが連携することでチーム医療は成り立っています。